それぞれの離婚事情

妻の不倫がきっかけの離婚

妻の不倫がきっかけの離婚

場所をわきまえずに怒鳴り散らす妻

「こんな給料じゃ、ブラジャー1枚買えないじゃない!!!」

ある日、その奥さんは、ご主人の実家で、ご主人のご両親のいる前で、突然怒鳴りたてたそうです。

ご主人は「また始まったか…」と思い、二人の娘たちはテレビゲームに熱中しているのか見て見ぬ振りをしているのか…

そしてご主人のご両親は、奥さんの剣幕に驚き、後に「あの時は心臓が止まるかと思ったわ」とご主人に話しをしたそうです。

ご家族の経歴

ご主人は34歳
普通のサラリーマン(製造業)
高校
卒業後ずっと現在の会社で働いている、社会人としては16年の中堅選手

奥さんは33歳の専業主婦
高卒
ただし、独身時代は「家事手伝い」に、ちょっとパートを経験した程度で、しっかりと働いた経験は無し

結婚11年目
お子さんは二人
長女は小学校4年生、次女は小学校2年生

この家族で特筆すべきは、奥さんは自営業(建築業)の家に育ち、高校を卒業した後は定職につかず、まともに働いたことも無いので、お金の大切さを実感していないことと、「サラリーマンならではの苦労」を知らないということでしょうか。

ご主人は、憔悴しきった様子で相談にいらっしゃいました。

ご相談内容

2年前から妻の不倫が続き、離婚しようかどうか悩んでいる

1年前に妻の不倫が発覚

ご主人にバレていることで開きなおったのか、ご主人が仕事から帰宅すると、家を出て不倫相手のところへ行き、早朝、娘さんたちを学校へ送り出すために、その時間前に帰宅するという生活が1年続いている

子どもの教育上も、妻の行動が心配だし、婚姻生活の継続も難しい

残念ながら、離婚カウンセラーから見て、「手遅れ」の状態になっているご夫婦でした。

特に男性の場合は、家庭内の問題を他人に相談するのは以ての外と考える方が多いようです。

例え相手が弁護士や行政書士、比較的敷居が低いだろうと思われる私のようなカウンセラーにすら、事実をさらけ出して相談するということに、女性以上に抵抗があるようです。

なので、ご相談に来た時点で、修復は厳しく手遅れというケースがほとんどです。

病気と同じで、夫婦関係の修復も早期発見・早期の対応をすることで、多少なりとも再構築の可能性が高くなることを、広く世間の人に知って欲しいなと、このような方からの相談を受けるたびに、痛切に思います。

更に詳しくお話しを伺うことにしました。

きっかけは妻の不倫

ご相談者
ご相談者
妻の不倫に気がついたのは2年前くらいですが、実際には3年くらい続いていると思います。ちょうどそのくらいの時期から、夜の生活を拒まれ始めましたので。

ご主人はこう話を始めました。

ご相談者
ご相談者
妻の不倫に気がついたきっかけは、明らかに金遣いが荒くなっていったことです。

今までも給料が少ないと文句は言われ続けていましたが、それに対する愚痴が日に日に増していきました。

それでもサラリーマンである自分には、給料が収入の全てですし、今までは愚痴を言いつつもやりくりしてくれていた上に、子どもたちのことで急に出費がかさんだわけでもない。

恥ずかしい話しですが、妻は自分の両親にお金の無心を度々している様子でした。

そういう日々が続いていた時、仕事で自宅の近くを通ったので小用を足そうと家に寄ると、見たことも無い衣装を身にまとい、今まさに出かけようとしている妻に出くわしたのです。

買い物に行くような格好では無かった上に、そろそろ子どもたちが帰宅する時間です。

「こんな時間からどこに行くの?」「子どもたちがそろそろ帰ってくる時間だろう?」と聞いたところ、「あなたには関係ない!」と言い放たれました。

妻は、凄まじい勢いでドアを閉め、駅の方向へ歩いていく妻の後姿を見た時、何があってこんなに機嫌が悪いんだろう?と思いました。

その数ヶ月後、残業を終え、私が帰宅したのは22時頃でした。

2人の娘たちはテレビゲームをしていました。

「お前たち、もう寝る時間じゃないか?駄目だぞ、明日学校なんだし…それにお母さんはどうしたの?」と聞くと、長女が「出かけてるよー」と言います。

しかも、そう答えた長女は、少し俯いていて私の顔を見ようとしません。

もしや…不倫?と思っているところに、妻が酔って帰宅してきました。

さすがに私も頭に血が上ってしまい、「こんな時間まで子どもを2人きりにして出歩くなんてどういうことだ!」と、妻に向かって手をあげてしまいました。

妻に手を上げてしまったのは、これが最初で最後です。

妻は「子どもはもう小学生になったんだから、子育ては終わったも同然でしょう? なら私の時間をどう使おうが私の勝手じゃない!」と言いました。

そしてその日から、自分が家に帰ると妻は出て行き、早朝、子どもを送り出す時間の直前に帰宅するという生活が始まってしまったんです。

そして、2年もの間、この状態を放置してしまったそうです。

育った環境の違いからか…

元々、この奥さんは気性の激しい女性らしく、怒鳴り散らすことが多いかったそうです。

特に、ご主人の帰宅時間が、奥さんの機嫌を損ねるきっかけになることが始まりだったとか…

ご主人が組合の役員を引き受けてからは、平日が遅くなるのはもちろんのこと、休日も組合のイベントで家を空けることが多くなると、それはそれは罵倒されまくったそうです。

しかし、そんな状況であっても、ご主人は家族サービスを欠かしたことはなく、休日には必ず家族をどこかしらに遊びに連れて行ったそうです。

お金に余裕があれば遊園地や水族館に、そうでなければ近くの公園でバドミントンや一輪車の練習をしたり。

雨でどうしようも無いときは、子どもたちと一緒にテレビゲームに興じたりと、伺う限りでは「ご主人にとっての休日」は無いに等しいと思えるほどです。

一般的に男性が好まない、妻の愚痴話にも可能な限り付き合ったと言っています。

疲れて家に帰っても、子どもたちの話や妻の話にはきちんと耳を傾けていたと。

では何故、奥さんは不倫をしまったのでしょう?

更に詳しくお話しを聞くと、奥さんを育った環境がご主人のものと遠くかけ離れていました。

まず、奥さんのご両親。

特に父親が、娘である奥さんを溺愛していて、お金の無心をすればすぐにお金を出していたようです。

ご主人はそのことを知っていたそうです。

しかし、奥さんから「あなたの給与ではやっていけない!」と度々言われ続けてしまっていました。

とても奥さんのご両親に、妻へお金を渡すことを辞めて欲しいと言えなかったそうです。

また、奥さんのご両親は自営業(建築業)です。

数名とはいえ人を雇っていたため、父親が家庭に割ける時間が、サラリーマンとは違ったことも、奥さんにしてみれば、こんなはずじゃなかった!と思わせるものだったのでしょう。

自分の思い通りにならない経済状態と、夫が家に滞在している時間の短さ。

奥さんはこれに不満を募らせたようです。

そして、うちの旦那は安月給だ、うちの旦那は家族サービスをしない、と結論づけてしまっていたようです。

最初は親友に、そして親友からただの友人にと、自分の愚痴を繰り返す中で、自分に同情してくれる、理想的な回答を述べてくれる男性と意気投合してしまったというところでしょうか…

不倫の程度を確認

奥さんが不倫をしていることは間違いないのですが、私は念のため、奥さんの携帯(メールや電話の履歴)やお財布の中を見るように、ご主人にお話ししました。

奥さんがどの程度、不倫相手に入れ込んでしまっているか、また奥さんの性格を見極めたいと思ったからです。

プライバシーの侵害と逆に訴えられてしまうと思いますか?

こういうケースの場合は、プライバシーの侵害にはあたらないそうです。

離婚調停などになった場合、そもそも、配偶者にこういう行動を取らせた方が悪いと判断されるケースがほとんどだそうです。

さて、奥さんの携帯に残されていたメールには、ご主人にしてみれば、目にしたくないような内容でした。

「昨夜はとっても気持ち良かった!早く夜になあれ!」
「Kちゃん(不倫相手)愛してる~今夜は何が食べたい?」

といった、相手の男性にかなり入れ込んでいる状態のものはもちろんのこと、

「こんな結婚するんじゃなかった!」
「Kちゃんと結婚してたら幸せになれたのにね。」

という、今の結婚生活を否定する内容のもの。

私が最も見逃せなかったのは、

「だってさ、もう2人とも小学生になったんだから、私の育児は終わったわけじゃない?なら何したっていいじゃないよね?」

というメール。

そしてお財布からは、紳士物の衣服を買ったレシートなどが出てきたそうです。(もちろん、ご主人の衣服ではありません。)

私は、離婚した方がいいと思いました。

正直、このご主人が、この奥さんと結婚生活を続ける意味が見出せなかったのです。

小学校に行き始めたから自分の育児は終わったと言い張る女性。

働いたこともないのに、ご主人の働いたお金や親に無心したお金で不倫相手の洋服を買ってしまう無神経さと経済観念の無さ。

けれど離婚するとしたら…2人のお子さんはどうなる?

ご主人が親権と監護権を持つ方が、精神面では真っ当な子育てが出来るように思います。

しかし、現実問題としては、早くても20時、遅ければ22時になってしまうご主人の帰宅時間では、協力者無くして育児を行うことは不可能です。

そして、このご主人は転勤族でもあるため、子どもを連れて歩けないのであれば、ご主人の実家に預けて、育児をご両親にお願いすることになる可能性も否定できません。

親権をとった場合、手元で育てるにしても、実家に預けるにしても、親権者である父親とのコミュニケーションが上手くとれないことは、かえって悪影響になりかねません。

ご主人に、どうされたいですか?と聞くと、

ご相談者
ご相談者
子どものことさえ無ければ離婚したい。

とのこと。

そうだろうと思います…

離婚を選択する前に

そこで私は、3つのことを確認してもらいました。

まず最初は、奥さんは離婚したがっているのか否か。

そして奥さんの実家の経済力(もっと生々しく表現すると資産の有無)。

最後は… ご主人には非常に酷なのですが、お子さんの気持ちの確認です。

妻が離婚に同意するか
妻の実家の経済力
子どもたちの気持ち

奥さんは当然離婚したがると思えました。

本来であれば、子どもの行く末を案じて、離婚に躊躇するところでしょうが、この奥さんの場合は、とても短絡的で目先の享楽しか見えていないようでしたので、むしろ諸手をあげて離婚したがるでしょう。

案の定、奥さんの回答は、

「離婚? いいよ。っていうかそれしかないでしょ!」

という、あまりにも安易、かつ即答だったそうです。

奥さんの実家の経済力については、調べるまでもなくご主人は把握していました。

ご相談者
ご相談者
数年前に義父から「うちには男が生まれなかったから稼業を継がないか?」と言われ、経営状態や資産について説明を受けていたので。

とのこと。

その打診があった際、ご主人は、他人(自分以外の人という意味ですね)が築いた土台の上に乗るのではなく、自分の腕一本で人生を歩んで行きたい。

しかも自分は長男で、他に男の兄弟もいないことから、自分自身の両親のことが気に掛かったとのことで、この申し出を断ったそうです。

どうやら、奥さんには経済力は皆無ですが、義両親に頼れば経済面は苦労しないで済みそうな状態でした。

最後のお子さんの気持ちについては…ご主人にとって最も辛い作業だったと思います。

しかし、確認しないわけには行きません。

特に女の子の場合は、男の子に比べて早熟ですし、ご主人によれば、自分たち夫婦が上手くいっていない理由についても理解している様子とのことでしたし。

お子さんは、当然ですが、最初はかなり動揺されたようです。

ただ、カウンセラーをしていて思うのは、子どもは子どもなりに、自分の置かれている状況を見据えて、自分の人生にしっかり向き合っているのです。

こちらのお子さんたちも、最初こそとても動揺したそうです。

しかし、「お父さんとお母さんはもう一緒に暮らすことができないんだよ。ごめんね。」という趣旨の話しをきちんと聞いてくれたそうです。

そしてお子さんたちの出した結論は、

「姉妹を別々にしないで欲しい。それから、お父さんは大丈夫だけれど、お母さんが心配だから、お母さんと一緒に暮らしたい。」

だったそうです。

時間は掛かりましたが、ご主人本人の気持ちも固まり、お子さんの今後の経済的な見通しもそれなりにたち、お子さんたちの気持ちも離婚に向けて落ち着き始めました。

養育費を決めるに際して

離婚も結婚も紙一枚のことではありますが、離婚の時には取り決めなくてはならない事項がたくさんあります。

こちらのご夫婦の場合は、財産分与・慰謝料・親権(監護権)・面会交渉権・養育費になります。

ご主人の意向を確認すると、

ご相談者
ご相談者
今までさんざん、子どもには見せたくない、見せてはならない、夫婦間の醜態を晒してしまいました。

離婚条件で更に揉め、両親が争う姿をこれ以上子どもたちに見せたくありません。

ですから、慰謝料の請求などは考えていないし、財産と呼べるものは無いに等しいので、決めておきたいと思うのは養育費と面会交渉権についてだけです。

とのこと。

ご主人の年収は約600万円。

二人の子どもが中学生未満であることを考えると、相場としては、6~8万円というところでしょうか?

しかし、ご主人の収入について、よくよく伺うと、離婚した後の年収は500万円を下回ってしまうようです。

福利厚生のしっかりしている会社のため、扶養手当が占める割合がかなり高いのです。

逆を返せば、離婚すると収入が大きく減ってしまいます。

それでもご主人は、

ご相談者
ご相談者
他ならぬ子どもたちのためなので、毎月5万円は支払いたい。

とおっしゃっています。

奥さんは、この金額で納得してもらえるでしょうか?

ここはしっかり交渉しなくてはならないとアドバイスしました。

安月給だとご主人を罵り、親にお金を無心していた方です。

自分は実家に帰れば住むところがありますが、ご主人はこれからも家賃が掛かる生活を余儀なくされます。

扶養手当が無くなることで年収が低くなるご主人の経済的窮状を理解してくれるだろうか。

もっと法外な金額を要求してきたら…と不安でしたが、あっさりと毎月5万円でよいとのこと。

これを下の子が20歳までということで双方納得したとのことです。

面会交渉権については、月1回、子どもたちの精神状態が良いと親権(監護権)者が判断した時のみということで、ご主人も納得していました。

当座の生活資金が必要とのことで、ご主人は自分の生命保険以外の保険を全て解約・現金化して奥さんに渡しました。

2台あった車は、それぞれが日常使っていた車をそれぞれが引き取る。

家財道具は、全てを奥さんに渡したとのことです。

そして養育費と面会交渉権のことを離婚協議書にして公正証書を組み、離婚成立となりました。

日頃のコミュニケーションの大切さ

このご夫婦の場合。

奥さんのご両親が健在で、経済的支援を得ることができたことが最大の利点でした。

また、ご主人は転勤族だったにも関わらず、離婚当時住んでいた場所が奥さんの実家の近所だったのです。

奥さんと子どもたちが実家に住むことになっても、子どもたちは転校といった生活環境を一変することなく、住居以外は子どもたちの環境変化を無くすことができた点も良かった点です。

奥さんが親権(監護権)者になったことは、少々不安が残りました。

しかし、奥さんのご両親もいることですし、現実問題としてこのご主人に育児は不可能なので、子どものことだけはちゃんとやってくださいと願うばかりです。

「小学校にあがったんだから育児は終わった」などと、同じ女性として信じられない発言をし、夜ごと不倫相手の家に泊まりに行っても、朝は子どもが学校に行く前に帰宅していたという行動を信じるしかありません。

私の文章だけ読むと、酷い女だ!女性として母親として有り得ない!と皆さんは思うことでしょう。

実際、私もご主人のお話しだけ聞くと、ご主人の境遇の悪さに、心情的には涙なくして話しを聞けませんでした。

しかし、夫婦関係の亀裂には、例えそれがどんな些細なことが理由であっても、どちらか一方が「悪」ということはありません。

ご主人にも何かしらの問題はあったことでしょう。

とても優しい、思いやりのある方でしたが、それを表現するのが上手では無かったのかも知れません。

言わなくても判ってくれるだろうと、奥さんへの労いの言葉を掛けたり、罵られた際には、そういう言動は辞めて欲しいとは言っていなかったのではないでしょうか?

収入に関しても、世間相場だと思います。

決して安月給ではありません。

そういうことをきちんと説明して、例えば数年後の長女の進学までに幾ら貯金しよう、数年後に車を買い換えるために幾ら貯金しようといった、共通の目標を立て、努力し、成果があればお互いに誉め合うというサイクルが出来ていれば、このようなことには無かったのかも知れません。

カウンセリングをしていて、「コミュニケーションをとりましょう」と、アドバイスさせて頂きますが、ほとんどの方が「今更何を言っていいのか判らない」とおっしゃいます。

子どものことくらいしか話題がないと言われる方が多いのですが、本当にそうでしょうか?

かつて、ご夫婦がまだ恋人同士だった頃には、話しても話しても話題が尽きることは無かったはずです。

もちろん、恋人同士だった頃と同じことをすればいいという話ではありませんが、時には出会った頃のことを思い出して、初心に帰ってみることから見えてくることもあると、私は思います。